Columnコラム
訪問歯科でも入れ歯は作れる?作成の流れと費用・調整を解説
通院が難しくなると、入れ歯を新しく作ることや、合わなくなった入れ歯を調整してもらうことをあきらめてしまいがちです。訪問歯科では、自宅や施設で入れ歯の作成・修理・調整を相談できます。
この記事では、訪問での入れ歯作成が診察から装着後の調整までどのように進むのか、完成までにどのくらいかかるのか、費用はどう決まるのかを整理します。今の入れ歯が合わないと感じている場合の相談方法もあわせて説明します。
訪問歯科でも入れ歯の作成や調整を相談できる
たんぽぽ歯科訪問センターでは、入れ歯の新規作成、修理、調整のいずれにも対応しています。歯科医師とスタッフが自宅や施設へ伺い、型取りから完成後の調整まで訪問先で行います。
ただし、訪問歯科は通院が難しい方を対象とした診療です。入れ歯を作りたいという希望があれば誰でも利用できるというものではなく、通院の状況を確認したうえで対象になるかを判断します。
要介護認定を受けているかどうかだけで決まるものでもありません。認定を受けていない方からのご相談にも対応しています。一方で、ご家族が送迎できる場合は通院していただき、送迎が難しい場合に訪問するというのが当センターの基本的な考え方です。
対象となる方の条件については、訪問歯科の対象者についてまとめた記事で詳しく整理しています。
訪問歯科で入れ歯を作る流れ
入れ歯を新しく作る場合、診察から装着後の調整まで、次の6つの工程を経ることが一般的です。口の中の状態や作る入れ歯の種類によって、工程が追加されたり、確認をやり直したりすることがあります。
なお、工程の数と訪問の回数は一致しません。1回の訪問で複数の工程を進めることもあれば、ひとつの工程に複数回を要することもあります。
新しい入れ歯については、作製から納品まで約1カ月が当センターの目安です。
▼1. 診察と治療計画の相談
まず口の中の状態を確認します。残っている歯の状態、歯ぐきの状態、現在使っている入れ歯があればその状態を診ます。あわせて、持病や服薬の状況といった全身の状態、食事で困っていること、どうなりたいかというご希望を伺います。
虫歯や歯周病の治療、抜歯といった前処置が必要な場合は、その分も含めて治療計画を相談します。
▼2. 型取り
自宅や施設で口の中の型を取り、模型を作ります。訪問だからといって型取りを省くことはありません。
口の中の状態や作る入れ歯の種類によっては、型取りを複数回に分けて行うことがあります。より精度の高い型を取るために、段階を踏む場合があるためです。
▼3. 噛み合わせの確認
上下の顎の位置関係と、噛み合わせの高さを確認します。この工程は、できあがった入れ歯で無理なく噛めるかどうかに関わる部分です。
確認の方法は、総入れ歯か部分入れ歯かなど、作る入れ歯の種類によって異なります。
▼4. 試適
製作途中の入れ歯を実際に口に合わせて確認します。歯の並び方、噛み合わせ、見た目などを見て、必要があればこの段階で修正します。
すべての症例で同じ手順を踏むわけではありません。入れ歯の種類や状態によって、この工程の進め方は変わります。
▼5. 完成した入れ歯の装着
完成した入れ歯を装着し、歯ぐきに当たっているところがないか、噛み合わせに問題がないかを確認します。気になる部分があれば、その場で調整します。
完成した当日から、まったく不自由なく食事ができるとは限りません。入れ歯は使いながら慣れていく部分があり、装着後の調整を前提に考えていただくものです。
▼6. 装着後の調整
実際に使ってみて、痛む場所がある、特定のものが噛みにくい、外れやすいといったことがあれば、次の訪問で伝えてください。状態に合わせて調整します。
調整の回数はあらかじめ決まっているものではありません。慣れ方や口の中の状態によって変わります。気になることがあれば、そのつどご相談ください。
完成までの期間と歯科技工士との連携
新しい入れ歯は、作製から納品までおよそ1カ月が目安です。これは入れ歯そのものを作るのにかかる期間で、最初の相談から治療がすべて終わるまでの期間とは別に考えてください。
前処置として虫歯や歯周病の治療が必要な場合、その期間が加わります。訪問の日程調整や、装着後の調整にかかる期間も含めると、全体としてはもう少し長くなります。
たんぽぽ歯科訪問センターには技工所を併設しており、歯科技工士が在籍しています。入れ歯は次のような流れで製作します。
- ✓自宅や施設で型を取る
- ✓取った型から模型を作る
- ✓その模型をスキャンする
- ✓CAD/CAMなどを用いて入れ歯を製作する
模型を作ったうえでスキャンする方法をとっており、口の中を直接スキャンする方式ではありません。技工士が同じ組織内にいることで、製作段階での確認や修理の対応を進めやすい体制になっています。
訪問歯科で入れ歯を作る費用の目安
訪問歯科での入れ歯の作成は、健康保険が適用される保険診療の範囲で受けられます。実際の金額は、治療内容や負担割合によって変わります。ここではたんぽぽ歯科訪問センターの目安をご案内します。
▼当センターの1割負担の目安
医療費の自己負担が1割の方の場合、支払いの目安は次のとおりです。
| 支払いの場面 | 目安の金額 | 条件 |
|---|---|---|
| 1回の診療 | 3,000円〜5,000円 | 当センター・自己負担1割の場合。診療内容によって異なります。 |
| 入れ歯が完成する回 | 5,000円〜7,000円 | 当センター・自己負担1割の場合。作成にかかる全体の総額ではありません。 |
| 交通費・出張費 | なし | 別途いただいていません。 |
上記は2026年8月時点の当センターの案内による目安です。全国どこでも同じ金額というものでも、確定した料金でもありません。入れ歯の種類、治療内容、負担割合などによって異なります。
入れ歯が完成する回の金額は、あくまでその回の支払いの目安です。作成にかかった費用の総額を示すものではありません。完成までにかかる総額や、各回の支払いについては、事前にご相談ください。
▼総入れ歯と部分入れ歯では費用が異なる
入れ歯は、すべての歯を失った場合に使う総入れ歯と、残っている歯がある場合に使う部分入れ歯に分かれます。どちらを作るかによって費用は変わります。
- ✓総入れ歯:上下のどちらかを作るのか、両方を作るのかによって変わる
- ✓部分入れ歯:補う歯の本数、留め具の設計、残っている歯の状態などによって変わる
同じ総入れ歯でも、口の中の状態や必要な処置によって金額は変わります。実際にいくらになるかは、診察のうえで説明を受けてください。
▼治療費と訪問に関する費用を分けて確認する
訪問歯科の請求は、いくつかの費目で構成されています。説明を受けるときは、次のように分けて確認すると内容を把握しやすくなります。
- ✓入れ歯の作成そのものにかかる歯科治療の費用
- ✓訪問して診療を行うことに対する費用(歯科訪問診療料など)
- ✓該当する場合の、介護保険による居宅療養管理指導費
訪問加算といったひとまとめの言い方だけで済ませず、どの費目が今回の支払いに含まれているのかを確認してください。
入れ歯の作成・調整にかかる費用や訪問の対象条件について、まずはご相談ください。料金の仕組みそのものについては、料金についてまとめた記事で説明しています。
入れ歯の調整や修理だけでも訪問を相談できる
訪問歯科に相談できるのは、新しく入れ歯を作る場合だけではありません。今使っている入れ歯が痛む、緩んできた、噛みにくい、壊れてしまったといった場合も相談できます。訪問の対象になるかどうかの条件は、新規作成の場合と同じです。
▼合わない入れ歯の調整を依頼したいとき
入れ歯が合わないと感じている場合は、次のような点を整理して伝えていただけると、状況を把握しやすくなります。
- ✓いつ頃から合わないと感じているか
- ✓口のどのあたりが痛むか
- ✓どのような食べ物が食べにくいか
- ✓外れやすいか、話しにくいか
- ✓その入れ歯をいつ作ったか
調整で対応できるのか、修理が必要なのか、作り直したほうがよいのかは、実際に口の中と入れ歯を診たうえで相談して決めます。
▼入れ歯が壊れたときの修理を相談したいとき
入れ歯が割れた、留め具が外れたといった場合も相談できます。たんぽぽ歯科訪問センターは技工所を併設しているため、修理は当日中に対応できる場合があります。
ただしこれは、お問い合わせいただいた当日に必ず訪問できるという意味ではありません。急な症状への訪問については、可能な限り当日、または翌日中の対応を方針としています。
破損の状態やご連絡いただいた時間帯によって扱いが変わりますので、予約のときにご確認ください。破損の程度によっては、修理では対応できず作り直しが必要になる場合もあります。
入れ歯が合わないと感じたら早めに相談する
合わない入れ歯を使い続けると、歯ぐきの同じ場所に当たり続けて痛みが出たり、粘膜に傷ができたりすることがあります。噛みにくさから食べられるものが限られ、食事の内容が偏ることもあります。
少し合わないくらいなら我慢できると感じても、早めに相談したほうが調整で済むことが多くなります。
なお、痛むところをご自身で削ったり、市販の接着剤で修理したりすることは避けてください。かえって合わなくなったり、修理が難しくなったりすることがあります。取り扱いに迷う場合は、歯科医院に確認してください。
よくある質問
Q.入れ歯の完成まで何回くらい訪問が必要ですか?
A.口の中の状態、作る入れ歯の種類、装着後の調整の状況によって変わるため、一律の回数はお伝えできません。工程が6つだからといって6回の訪問になるわけでもありません。期間としては、作製から納品まで約1カ月が目安です。実際の回数は診察のうえでご相談ください。
Q.施設に入居していても相談できますか?
A.ご相談いただけます。施設の担当者との日程調整や、ご本人の状態、訪問の対象条件を確認したうえで進めます。
Q.家族から入れ歯の相談を申し込めますか?
A.ご本人やご家族から直接お申し込みいただけます。受付の後、センターからケアマネジャーへ連絡し、必要な情報を共有します。
まとめ
訪問歯科では、入れ歯の新規作成だけでなく、修理や調整も相談できます。作成は診察から装着後の調整まで工程を踏んで進み、新しい入れ歯は作製から納品まで約1カ月が目安です。
費用は自己負担1割の方で1回3,000円〜5,000円、完成する回は5,000円〜7,000円が当センターの目安で、交通費や出張費はいただいていません。実際の金額は治療内容や負担割合によって変わります。
入れ歯の作成や調整にかかる費用、訪問の対象になるかどうかについて、まずはご相談ください。