Columnコラム
訪問歯科のデメリットと申し込み前に気をつけること
訪問歯科は、通院が難しくなった方のご自宅や施設へ歯科医師が出向いて治療を行う仕組みです。通院の負担を減らせる一方で、費用の目安や訪問先で受けられる治療の範囲、希望日時の調整など、申し込み前に確認しておきたい点もあります。
この記事では、訪問歯科を利用するうえで知っておきたいデメリットと注意点を整理します。あわせて、たんぽぽ歯科訪問センターで対応できる診療内容や費用の目安、問い合わせのときに伝えるとスムーズな情報もまとめました。読み終えたときに、ご自身やご家族の状況で相談してよいかどうかを判断できる状態を目指しています。
訪問歯科の主なデメリット3つ
訪問歯科で事前に押さえておきたいデメリットは、大きく次の3つです。
- ✓外来で受診する場合より、自己負担が高くなることがある
- ✓治療内容や体の状態によっては、訪問先での対応が難しい場合がある
- ✓希望する日時にそのまま診療を受けられるとは限らない
いずれも訪問歯科という仕組みの性質上、起こりうることです。医院ごとの体制や患者さんの状況によって程度は変わります。ここでは一般的な傾向を説明したうえで、たんぽぽ歯科訪問センターの対応方針を分けて記載します。
▼外来より費用が高くなることがある
訪問歯科は健康保険(および後期高齢者医療、介護保険)が適用される診療です。ただし、外来診療にはない訪問に関する診療料などが算定されるため、治療の内容が同じでも自己負担額が外来より増える場合があります。
必ず高くなるというものではありません。外来に通う場合は、交通費やタクシー代、付き添うご家族の時間や介助の負担が別にかかります。訪問歯科ではこうした移動にともなう負担が発生しないため、通院にかかっている実費や手間まで含めて比べると、感じ方は人によって変わります。
たんぽぽ歯科訪問センターの場合、医療費の自己負担が1割の方で、1回あたりおよそ3,000円〜5,000円が目安です。入れ歯が完成する回には、5,000円〜7,000円ほどになります。交通費や出張費は別途いただいていません。ご自宅と施設とで、目安に大きな差はありません。
なお、この金額は自己負担1割の方の目安です。負担割合や治療内容、通院の回数によって実際の金額は変わります。全国どこでも同じ料金というものでも、定額制のサービスでもありません。料金の仕組みや自己負担額の考え方は、料金についてまとめた記事で詳しく説明しています。
▼治療内容や体の状態によって対応が難しい場合がある
歯科医院には診療台や大型の機器が備わっていますが、訪問診療では持ち運びできる機器を使って治療を行います。そのため、大がかりな設備が必要な処置や、時間のかかる複雑な処置は、外来と同じようには進められないことがあります。
また、患者さんの全身状態も判断の材料になります。持病の状況や服薬内容、その日の体調によっては、予定していた処置を延期したり、負担の少ない方法に切り替えたりすることがあります。
ここで注意したいのは、「訪問歯科では抜歯やレントゲンはできない」といった一律の説明が必ずしも正しくない点です。医院によって対応できる範囲は異なります。たんぽぽ歯科訪問センターで対応している内容は、次の章の表にまとめました。実際に受けられるかどうかは、診察のうえで個別に判断します。
▼希望日時に診療を受けられるとは限らない
訪問歯科は、歯科医師とスタッフが患者さんのもとへ移動して診療します。1日に回れる件数には限りがあり、地域ごとの訪問ルートや他の患者さんの診療予定に沿って日程を組むことになります。そのため、希望した日時にそのまま予約が取れるとは限りません。
急な歯の痛みや入れ歯の破損といったトラブルについては、たんぽぽ歯科訪問センターでは可能な限り当日、または翌日中に対応する方針をとっています。ただし、予約の状況や訪問エリアの都合によりますので、必ず即日で伺えるとお約束するものではありません。休日や夜間の対応可否についても、状況によって異なりますのでお問い合わせください。
急ぎの症状がある場合は、いつからどのような症状が出ているかをお電話で伝えていただくと、対応の判断がしやすくなります。
訪問歯科でできることと事前相談が必要なこと
訪問歯科で対応できる診療の範囲は、医院の設備や体制によって差があります。ここでは、たんぽぽ歯科訪問センターで対応している内容と、対応していない内容を整理します。実際にどの治療を行うかは、患者さんの口の中の状態や全身の状態を診たうえで判断します。
| 診療内容 | たんぽぽ歯科訪問センターの対応 |
|---|---|
| 虫歯・歯周病の治療 | 対応可。具体的な治療方法は、状態を確認したうえでご相談しながら決めます。 |
| 入れ歯の作成・修理・調整 | 対応可。技工所を併設しており、新しく作る場合は完成までおよそ1カ月、修理は当日中に対応できる場合があります。 |
| 抜歯・レントゲン撮影 | 対応可。ただし、すべての抜歯に対応できるわけではなく、状態によっては難しい場合があります。 |
| 摂食・嚥下機能への対応、嚥下内視鏡検査 | 対応していません。飲み込みの機能そのものに関する検査や訓練をご希望の場合は、主治医やケアマネジャーへご相談ください。 |
飲み込みに不安がある方について、訪問歯科なら対応してもらえると考えて申し込まれるケースがあります。たんぽぽ歯科訪問センターは、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の対応を中心とした診療を行っており、摂食・嚥下機能への対応は行っていません。この点は申し込み前にご確認ください。
入れ歯を作る流れや調整にかかる期間については、入れ歯についてまとめた記事で詳しく説明しています。
希望する治療を訪問で受けられるかどうか迷う場合は、まずはご相談ください。症状やご希望を伺ったうえで、対応できるかをお伝えします。
申し込み前に確認しておきたいこと
問い合わせの前に情報を整理しておくと、初回のやり取りがスムーズになります。ここでは、伝えていただくと判断が早くなる項目を4つに分けて説明します。記事の後半には、そのまま使えるチェックリストもまとめました。
▼通院の難しさと家族の送迎状況
訪問歯科は、通院が難しい方を対象とした診療です。そのため、まず確認したいのが、なぜ通院が難しいのかという点です。
たんぽぽ歯科訪問センターでは、次のような方からのご相談にも対応しています。
- ✓要介護認定を受けていない方
- ✓認知症などにより、外来での診療を受けることが難しい方
- ✓骨折や手術後など、一時的に通院が難しくなっている方
- ✓小児の方、障がいのある方
一時的に通院が難しい方の場合は、回復して通院できる状態になった後は、外来通院へ切り替えていただく形になります。
ご家族が送迎できる場合は通院していただき、送迎が難しい場合に訪問するというのが当センターの基本的な考え方です。ただし、送迎が難しいという事情だけで自動的に訪問診療の対象になるわけではありません。ご本人が通院そのものを負担なく行える状態かどうかも含めて確認します。
対象になる方の条件や、判断に迷いやすいケースについては、訪問歯科の対象者についてまとめた記事で詳しく整理しています。
▼住所と訪問希望日
訪問歯科には対応できる地域の範囲があります。たんぽぽ歯科訪問センターでは、大阪府・兵庫県・奈良県のうち、拠点から訪問できる市町村を対応地域としています。
| 都府県 | 対応地域 |
|---|---|
| 大阪府 | 大阪市、守口市、門真市、四條畷市、大東市、東大阪市、八尾市、松原市、藤井寺市、柏原市、羽曳野市、富田林市、河内長野市、太子町、河南町、堺市、大阪狭山市、高石市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、和泉市、熊取町、泉佐野市、田尻町、泉南市、千早赤阪村 |
| 兵庫県 | 明石市、稲美町、播磨町、神戸市西区、神戸市垂水区、三木市、小野市、加古川市、高砂市、淡路市 |
| 奈良県 | 平群町、三郷町、斑鳩町、王寺町、上牧町、生駒市、奈良市、大和郡山市、安堵町、河合町、香芝市、葛城市 |
3府県のすべての地域に伺えるわけではありません。同じ市内でも、訪問先の住所によって対応可否が分かれる場合があります。お問い合わせの際は、市区町村名だけでなく、番地までの住所をお伝えいただくと確認がスムーズです。
訪問を希望する日についても、いくつか候補を挙げていただけると調整しやすくなります。ご家族が立ち会える曜日や時間帯、施設の場合は職員が対応できる時間帯もあわせてお知らせください。
▼診療スペースと準備するもの
訪問診療では、機器を持ち込んで治療を行うため、ベッドや椅子のまわりに作業できるスペースが必要です。あわせて、電源や水を使わせていただく場合があります。事前にどの部屋で診療を行うか、そのまわりに物が置かれていないかを確認しておくと当日の流れがスムーズです。
また、保険の資格確認に必要な書類や、服薬内容がわかるお薬手帳もご用意ください。予約時に何を準備すればよいか確認しておくと安心です。
- ✓診療を行う部屋と、ベッドや椅子のまわりのスペース
- ✓電源と水を使わせていただけるかどうか
- ✓保険の資格確認に必要な書類
- ✓お薬手帳、服薬中の薬がわかるもの
必要な広さや持ち物は、患者さんの状態や行う処置によって変わります。ここに挙げたものは予約時に確認していただきたい候補で、すべてが必須というわけではありません。
▼本人の希望と家族や施設との情報共有
治療を進めるうえでは、ご本人がどうしたいかという希望が出発点になります。痛みを取りたいのか、食事をしやすくしたいのか、入れ歯を作り直したいのかによって、進め方が変わります。
あわせて、服薬中の薬、既往歴、日中の連絡先、ご家族の同席が可能かどうか、施設の場合は職員との調整事項を事前にお知らせいただけると、初回の診療から具体的に進められます。
たんぽぽ歯科訪問センターでは、ご本人やご家族から直接お申し込みいただけます。ケアマネジャーを通していただく必要はありません。受付後、センターからケアマネジャーへ連絡し、必要な情報を共有します。
デメリットを踏まえて訪問歯科を検討したい人
ここまでの内容を踏まえると、訪問歯科の利用を検討する価値があるのは、通院が難しい状況にあり、かつ口の中の治療が必要な方です。
たとえば、病気や障がいによって外出そのものが負担になっている方、認知症があり歯科医院の環境では落ち着いて治療を受けられない方、入れ歯が合わずに食事が進まなくなっている方などが該当します。
骨折や手術後のように一時的に通院が難しくなっている場合も、その期間だけ訪問歯科を利用するという使い方ができます。回復して通院できる状態になった後は、外来通院へ切り替えていただきます。
一方で、費用の目安や訪問先で受けられる治療の範囲、日程の調整に不安がある場合は、申し込み前に確認しておくことで判断しやすくなります。次にまとめたチェックリストをご活用ください。
申し込み前のチェックリスト
問い合わせの前に、次の項目を整理しておくと、初回のやり取りで必要な情報が揃います。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 通院の状況 | ご本人が通院しにくい理由と、ご家族の送迎状況を伝えられる |
| 住所と希望日 | 訪問先の住所(番地まで)と、訪問を希望する日の候補を確認した |
| 治療の希望 | 希望する治療と、気になっている症状を整理した |
| 費用 | 費用の目安と支払い方法を相談した |
| 当日の準備 | 診療スペースと、必要な書類を医院に確認した |
| 連絡体制 | ご本人・ご家族・施設・ケアマネジャーの連絡方法を相談した |
このチェックリストは、すべてを満たさないと利用できないというものではありません。判断に迷う項目があれば、その旨を含めてご相談ください。
よくある質問
Q.家族から直接申し込めますか?
A.可能です。ご本人やご家族から直接お申し込みいただけます。受付の後、センターからケアマネジャーへ連絡し、必要な情報を共有します。
Q.抜歯やレントゲン撮影はできますか?
A.たんぽぽ歯科訪問センターでは対応しています。ただし、すべての抜歯に対応できるわけではありません。口の中の状態や全身の状態を診たうえで、個別に判断します。
Q.急に痛くなった場合も相談できますか?
A.ご相談いただけます。急な痛みや入れ歯の破損については、可能な限り当日、または翌日中に対応する方針です。予約の状況によりますので、訪問日時をお約束するものではありません。
まとめ
訪問歯科を申し込む前に確認しておきたいのは、費用が外来より高くなることがある点、訪問先で受けられる治療に範囲がある点、希望日時どおりに予約が取れるとは限らない点の3つです。
たんぽぽ歯科訪問センターでは、自己負担1割の方で1回あたり3,000円〜5,000円が費用の目安で、交通費や出張費はいただいていません。虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作成・修理・調整、抜歯やレントゲン撮影に対応しており、摂食・嚥下機能への対応は行っていません。
通院が難しい理由、訪問先の住所と希望日、受けたい治療を整理したうえで、まずはご相談ください。対象になるかどうか、希望する治療を訪問で受けられるかどうかを含めてお答えします。